メロンとバナナ

盤紹介とか書評とか。

David Sylvian & Holger Czukay / Plight & Premonition / Flux & Mutability

Artist David Sylvian & Holger Czukay
Title Plight & Premonition / Flux & Mutability
Label Grönland Records 193
Date 2018


David SylvianとHolger Czukayが1988年と1989年にリリースしたコラボレーション作『Plight & Premonition』と『Flux + Mutability』が2in1でリイシュー。

David SylvianとHolger Czukay

2人のコラボは、David SylvianがJapan解散後の1984年にリリースしたソロアルバム『Brilliant Trees』にHolgerが参加したことから始まり、1985年のEP『Words With The Shaman』を経て、本作で本格的な共作を果たすことになった。

『Plight & Premonition』

1987年、Holger Czukayが『Rome Remains Rome』作成中に、David Sylvianがケルンにあるカンのスタジオを訪れ、その際にセッションしたもの。

1曲目「Plight (The Spiralling Of Winter Ghosts)」は、David Sylvianが演奏するドローンを基本に、Holger Czukayの短波ラジオサンプリングやテープエディットが飛び交うインプロヴィゼーション。個人的にはベストトラック。

2曲目「Premonition (Giant Empty Iron Vessel)」も基本的には同じスタイルだが、どちらかというとDavid Sylvian寄りの構成。

『Flux + Mutability』

基本的には前作の延長線上の作品。しかし、前作は両者の演奏が渾然一体となった印象であるのに対し、『Flux + Mutability』は曲ごとの主導権が明確になっている。

1曲目「Flux (A Big, Bright, Colourful World)」はHolger主導のサイドであり、CANのメンバーからJaki LiebezeitとMichael Karoliがパーカッションとギターで参加、Karlheinz Stockhausenの息子のMarkus Stockhausenがフリューゲルホルンで参加している。

2曲目「Mutability ("A New Beginning Is In The Offing")」はDavid主導のサイドであり、叙情的なメロディが印象的なアンビエント作品となっている(この曲は短くエディットされたバージョンがあり、様々なコンピレーションに収録されている)。Jaki Liebezeitがフルートで参加しているが、Holgerの存在はあまり感じられず、4曲通して聞くとこの曲だけが浮いている感じがする。

レーベルについて

長らく廃盤状態だった本2作をリイシューしたのはGrönland Records。最近ではDAFのボックスや、Robert Görlのデモトラックなど、ドイツ系アーティストのリイシューで有名なレーベルである。

Holgerの死後、5CDボックス『Cinema』をリリースし、本作でHolger関連は2枚目となる。 今後、更なるHolger関連作品のリイシュー&発掘を期待したいところ。

プライト&プリモニション+フラクス&ミュータビリティ

プライト&プリモニション+フラクス&ミュータビリティ

  • アーティスト: デイヴィッド・シルヴィアン+ホルガー・シューカイ
  • 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
  • 発売日: 2018/06/27
  • メディア: CD
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