メロンとバナナ

盤紹介とか書評とか。

GAS / Rausch

Artist GAS
Title Rausch
Label Kompakt 386
Date 2018


Wolfgang Voigtが作り出した数ある名義のうち、現在もアクティブにリリースを続けているのがGAS。

GASのサウンドは、Voigtが子供の頃にケルンの森を彷徨った記憶と、大人になってLSDをキメながら森を彷徨った記憶をモチーフとしているらしく、ワグナーやシェーンベルクのシンフォニックなサンプルをループさせたアトモスフェリックな空気感が特徴的で、唯一無二のサウンドを構築してきた。

2000年の『Pop』を最後にリリースが途絶え、2006年には総括的なコンピレーション『Nah Und Fern』がリリースされるなど、GASとしてのプロジェクトは終了したのかと思っていたが、2017年に再び活動を再開、17年ぶりに新作『Narkopop』がリリースされる。

そして、『Narkopop』から1年後に本作がリリースされ、今回のGASの再開が、ワンショットではなく継続性のあるものであり、今後さらなるリリースが期待される。

本作は、レーベルのウェブサイトに記載されているとおり、最初から最後まで通して聞かれることを意図しており、便宜上7つのトラックに切り分けられているが、実質的には60分13秒のワントラック。

サウンド的には前作の『Narkopop』の延長線上にあるが、60分通して聴くと確かに曲としての展開が感じられ、これまでのループベースのトラックとは違う印象。Voigt本人は本作を「オペラ」的としている。

個人的には、GASといえばミル・プラトーからリリースされた黄色いジャケットの1stに思い入れがあるのだが、Apple Musicでは聞くことができない。2016年のボックスセットからも除外されている。何故だろうか・・・

Rausch

Rausch